film

2018年2月

写真家の友人がファインダー越しに私を見つめる。息を潜めて、ゆっくりと、だけど一瞬。
シャッターを切る。皮膚が一枚、奪われた気がした。そうして私は裸になる、のだろうか。
人は貴女の表皮しか見ない、ならば本当の姿が現れるまで、一枚一枚、印画紙に定着しよう。
ああ、うまくいかないな、と彼女はつぶやく。聞かないふりをして、また新しい皮を被る。

待って、と言ってカメラの裏蓋を開ける。
ポケットから無造作にフィルムを取り出して素早く交換する、彼女の手つきが好きだった。
なんでフィルムなの?
フィルムは人の皮膚みたいだから、エロくて好き。
えりなも写真を撮ってみたら、わかるかもよ。
瞬きで、この世界の温もりに触れるんだよ。

帰り道、FujiFilmの写ルンですをひとつ購入した。
彼女と私の試みはうまくいかなかったけれど、私は今でも時々、フィルムで写真を撮っている。

カテゴリー: 2018